2010年9月27日月曜日

外資企業のネットショッピング解禁とICP

先日、中国政府が外資企業にネットショッピングを解禁したニュースを報告したところ、
読者の方から以下のようなコメントをいただきました。

「この通達。全部読んでも、経営性ICPとの関係がよく判らないですね。ショップオーナーにネットショップを貸し出すモールはICPが必要だけれど、単独、独自ドメインのネットショップにはICPは要らなくなったってことなのでしょうかね?で、外資もできるようになったということ?」

コメントをいただき、ありがとうございました。

とてもいい質問と思います。コメントをくれた方は、恐らく中国のECビジネスに興味を持って、
私のブログにも注目してくれているのでしょう。(真感谢~)

まず、「ICP(Internet Content Providerの略)」とは、
中国政府がインターネットの管理手段の一つとして、
個人も企業も、内資も外資もすべて、
WEBサイトを中国国内にサーバーを置いて公開する場合に必要とされるライセンスです。

したがって、独自ドメインで中国国内にネットショップを開設する場合には、
今回の通達を受けてもなおICPの取得が必要とされます。
ここまでは以前と変わりません。

しかし、今回の通達では、経営性ICPが外資100%の企業にも
許可されることになったことが大きく前進したところです。

WEBサイト上で商品を販売したり、広告を掲載する場合に必要な、
経営性ICPの取得は今まで100%の外資企業には認められていませんでした。
(単なるWEBサイトで必要なICPは「非経営性ICP」と呼ばれ、
100%外資企業であっても届け出れば認められます。)

中国の法律では、経営性ICPを取れる外資企業は、
外資の出資比率が49%以下の、中国企業と合弁して設立された会社とされていたからです。

今回の通達では、今まで経営性ICP取得が不可能でした外資の出資比率50%以上の企業であっても、
中国国内に拠点があり、自社が製造した商品や調達した商品の販売を行う場合に限定して、
ICPを許可することが定められました。

これにより、100%外資企業も、条件を満たせば、
自社サイトで自社商品を販売することが出来ました。解禁という意味はここにあります。

中国に拠点を持っていなければなりませんが、
中国のECビジネスにとっては大きな一歩となるでしょう。

中国人と月餅

皆さま、你好!

先週20日の月曜日は敬老の日、23日は秋分の日でした。

皆さんの中には連休を取られた方もいらっしゃったかと思いますが、
いかがお過ごしでしたか?

9月22日は、中国の伝統祝日の中秋節。
私は、会社にお休みをもらい、一年ぶりに中国の故郷へ帰りました。

中国の中秋節といえば、皆さんもご存知の「月餅」が有名ですね。
しかし、最近は少し事情が違います。

中国人にも、健康ブームが起きています。
中国の伝統食品である「月餅」ですが、
糖分とカロリーが高いことから健康志向の現代人には人気がなくなり、
現在では食品というよりも、日本のお中元みたいにプレゼント用として活躍しています。

とはいえ、中国のスーパーマーケットの月餅売り場は熱々でした。

















ちなみに、中国人は中秋節にしか月餅を食べません!
ご存知でしたか~?

月餅以外にも、中秋節には、コーヒーセット、お酒、上海カニなどをプレゼントすることが普通です。
















中国人は、中秋節や2月の春節など、伝統的な祝日を大切にします。
中国の伝統行事を販促に取り入れてみることも、
中国人ユーザーを惹きつけるポイントとなると思います。

2010年9月17日金曜日

3年で年商4億円!?中国ECショップ「奇跡の姫」とは・・・

以前のブログで、中国のEC市場は巨大ですが、
市場としてはまだまだ未熟だというお話をしました。

その大きな理由は、中国のEC市場では、B2Cの利用はまだあまり広がっていないですから。
タオバオも最近になってB2Cができるようになりましたが、もともとはC2Cだけ。
ですから、中国ではインターネット通販というと、B2Bよりも、C2Cの方が活発です。
ただし、その中に、個人の趣味からはじめ、企業になる例は珍しくない。

今回は個人から一大ショップに急成長した、「奇跡の姫」と呼ばれるショップを紹介します。
もちろん、私も注目しているショップです!


【奇跡の姫ーー「七格格」】
七格格:http://store.taobao.com/shop/view_shop.htm?user_number_id=12149668

中国人気ECサイト「タオバオ」で、「七格格(七番目の姫様)」というこのショップは、
短期間に急成長したことで大きな話題となりました。

アパレル商品を中心に扱う「七格格」は、
2006年タオバオで出店しましたが、3年後の2009年の売上げはなんと3000万元(約4.2億円)を実現!
2010年の年商は5倍の1.5億元(約21億円)と予測されています。
さらに、1日100万元(約1,400万円)という至上最高の売上も記録しています。

◆七格格の沿革

2006年 元手4000元(約5万円)でオーナー1人でタオバオに出店。
2008年 友人2名が参加。
2009年 年商3000万元(約4億円)を達成、20人のグループで運営する。
2010年 会社を設立し社員100人に。年商1.5億元(約21億円)。

◆七格格の特色

【その①】若者の向けのデザイン

アパレル系の「七格格」はメジャーな市場ではなく、
ニッチ(少人数)な市場ニーズを狙い、
個性的な商品、及び活気溢れるショップデザインで、
中国の「80後」(1980年代生まれの若者)の心を掴みました。






































【その②】ユーザーと親しくなる対応

また、企業になっても、個人ショップのように
ユーザーと即時対応できますように工夫をしていることが
中国人ユーザーに支持されています!





 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
中国で急成長した「七格格」のショップは今後も大注目です!

2010年9月12日日曜日

中国、ネット通販を外資に解禁!

9月10日、中国がこれまで中国国内企業にのみ認めていたインターネットによる通信販売を、
外資系企業に解禁する通達が発表されました。

(以下、日本経済新聞より引用)
中国政府は外資系企業にインターネットによる通信販売を解禁する。
9日までに商務省が中国に進出済みの外資系流通業と製造業に対し、
ネット販売を許可する通達を出した。
広大な国土の中国では店舗網の整備が難しいのが実情。ネットを使った外資による中国内需の取り込みが加速しそうだ。

通達によると、ネット販売を認めるのは中国内に店舗などの拠点がある企業。
自社が製造した商品や調達した商品の販売なら当局への登録だけで済む。
中国内に店舗を持ち、ホームページを開設している企業はネット販売へ移行できる。
決済は中国の銀行などとの提携が必要。
ショッピングモールなど通販以外のネット事業サービスを行う場合は、
工業・情報化省の認可が必要になる。

(ここまで)

中国は現在の輸出経済を内需経済に転換するために、様々な政策を打ち出しています。
その中の一つとして、今回の外資系企業に向けたネット通販の解禁が発表されました。

このニュースを伝えた日本経済新聞の記事には、
既に中国現地に出店しているオフィス用品販売の「コクヨ」と衣料品販売の「ユニクロ」が、
独自にインターネット販売の準備をしていると紹介されました。
中国で拠点を持つ企業にとっては、
今回の通達により、広い中国でもっと便利な販売手段が増えることになります。

一方、中国に拠点を持たない日本企業にとっては、すぐによい影響を出ませんが、
コクヨやユニクロなどの外資系企業が独自のインターネット通販を展開することにより、
中国人が利用できるネット通販の選択肢が増え、中国でさらにネット通販の市場が拡大になるでしょう!!

この通達による今後の影響についてもっと調べる必要がありますが、
言うまでもなく、中国でのECビジネスはますます期待できるようになりましたね!

2010年9月5日日曜日

タオバオ日本の誤算?!

皆さん、こんにちは。
9月ですが厳しい残暑が続いています。体調をくれぐれも気をつけてくださいね。


【本日のトピックス】
○ タオバオ日本の誤算?!出店する日本企業の実態
○ タオバオ日本に寄せられた中国人ユーザーの不満
○ 不満解消後の”中国向けECビジネスの未来”


【その1:タオバオ日本の誤算?!出店する日本企業の実態】


今年の6月1日、中国のネットショッピング大手「タオバオ(淘宝網)」はヤフーJAPANと提携して、
「タオバオ日本」を設立しました。

急成長している中国EC市場に、
簡単に進出できるとYahoo!ショッピングに出店している日本企業は大きな期待を寄せました。
また、「タオバオ日本」は馬雲氏の「大タオバオ」理想の第一ステップとして
中国人ユーザーにも大きく注目されました。

しかし、「タオバオ日本」が開始して3ヶ月が経った今、日本企業には「期待はずれ」の雰囲気が…
先日の「カンブリア宮殿」で、出店する日本企業の実態が取材されました。

年商2億円を上げるネット通販会社が、
「タオバオ日本」で売り上げたのは、1ヶ月でわずか16万円…
2010年に4500億元(約5兆9203億円)を突破すると予想される中国EC市場で、
1ヶ月16万円の売上というのは非常に少ないと思います。

「期待していただけに、がっかり」というのが、日本企業の本音のようです…


【その2:タオバオ日本に寄せられた中国人ユーザーの不満】


「タオバオ日本」にがっかりしたのは、中国人ユーザーも同じです。
中国人ユーザーが落胆したのは、次の4つの問題点からです。

<問題点1>送料の問題

一部の商品の送料が、商品本体価格より高い 
→ 損をするくらいなら、インターネットで買わない!

<問題点2>商品の問題

中国国内のECサイトとほとんど同じで魅力がない 
→ わざわざ日本の会社から買わない!

<問題点3>出店ショップの信用の問題

出店ショップとコミュニケーションが不便で、
国際決済では商品の届く前に決済が成立してしまうので心配  
→ 品質が多少悪くても中国のショップで買った方が安心

<問題点4>中国の輸入政策の問題

この2ヶ月の間に、政策の影響を受け、複数の商品の販売が中止に


【不満解消後の”中国向けECビジネスの未来”】


中国向けECビジネスで、僅かな時間に日本の企業と中国人のユーザーには
大きなズレが現れました。

どう対処すればいいのですか?

物流の完備で輸送コストを削減します、
中国人ユーザーの日本商品へのニーズをしっかり掌握します、
有効なプロモーションを通じて、中国人ユーザーに知名度を高まり、信頼関係を構築します、
中国の輸入政策を敏感に理解する上に、販売戦略を調整します


様々な課題を直面し、工夫して解決しなければなりませんでしょう。

日本企業が中国のインターネットショッピングに参加して、まだ始まったばかりです。
「手間ばかりかかって、全く儲からない」と諦めるのは早すぎると思います。


中国ECで成功することを目指して、一緒に頑張っていきましょう~~